2019年2月17日日曜日

脱退手当金


脱退手当金

 脱退手当金は、厚生年金の保険給付で、旧法時代の制度であり、新法移行時に廃止されましたが、経過的に残っています。

 国民年金制度が誕生する以前の古い時代の話ですが、公的年金は、単独の制度に15年とか20年加入しなければ、一切、年金に結び付きませんでした。したがって、厚生年金に5年程度加入た後、結婚退職し、その後ずっと専業主婦として家事を守る女性のために、脱退手当金の制度を設けていたのです。その趣旨は、支払った保険料の半分程度を返還するというものでした。
 この脱退手当金の制度は、新法に移行した際に廃止されましたが、一部経過的に残されています。

●支給要件
 ①昭和16年4月1日以前に生まれたものであること
 ②厚生年金保険の被保険者期間が5年以上あること
 ③老齢年金(老齢厚生年金を含む)を受けるのに必要な被保険者期間を満たして
  いないこと
 ④60歳に達していること
 ⑤被保険者資格を喪失していること
 ⑥通算老齢年金または障害年金(障害厚生年金を含む)の受給権者でないこと
 ⑦過去に脱退手当金の額以上の障害年金または障害手当金の支給を受けていないこと

 ただし、厚生年金保険法の改正による経過措置として、前記①~⑦までの要件を満たしていなくても次の条件のいずれかを満たしている場合は、年齢要件に関係なく脱退手当金が支給されます。
・明治44年4月1日以前に生まれた人で、男子は被保険者期間が5年以上で55歳以上、
 女子は被保険者期間が2年以上あって、いずれも被保険者の資格を喪失していること。
・昭和29年5月1日前に被保険者期間が5年以上の女子が昭和29年5月1日前に資格を
 喪失し、かつ同年4月30日において50歳未満で、その後被保険者となることなく55歳
 に達したとき。
・被保険者期間が2年以上ある女子が昭和53年5月31日までに資格を喪失したとき。

●支給額
 平均標準報酬額×支給率(1.1~5.4)

●支給による効果
 脱退手当金の額の計算の基礎となった被保険者期間は、被保険者でなかったものと
 みなされます。つまり、年金額に反映しないということです。

●失権
 脱退手当金の受給権は、次のいずれかに該当した場合は消滅します。
 ①被保険者となったとき
 ②通算老齢年金、老齢厚生年金、障害厚生年金の受給権を取得したとき


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脱退一時金


 今回は、脱退一時金について説明します。脱退一時金は、外国人のために設けられた制度です。国民年金と厚生年金保険の両方に設けられています。

 現在の日本の年金制度は、国内に居住ししている限り外国人であっても強制適用です。日本に長年住む場合はよいのですが、短期間だけ在住して本国へ帰ってしまうケースもあります。その場合、日本で加入した期間分だけでは10年要件を満たせませんので、その分の保険料は掛け捨てになってしまいます。受給資格期間が10年以上ある方(老齢年金を受ける権利がある方)は、脱退一時金を受け取ることができません。
将来、日本の老齢年金として受け取ることができるからです。

 一番良いのは、国際年金通算協定を結ぶことです。たとえば、ドイツとは平成12年2月1日に国際年金通算協定が結ばれていますが、これによりドイツ人が、ドイツで15年、日本で10年、それぞれの国の年金制度に加入した場合は、これを通算して、年金はドイツから15年分、日本から10年分の支給を受けます。
 これが最も良い方法ですが、国際年金通算協定は、日本と各々の国が個別に締結する必要があります。厚生労働省も頑張っていて、2018年8月時点における、社会保障協定の発効状況は以下のとおりです。日本は21ヶ国と協定を署名済で、うち18ヶ国は発効しています。「保険料の二重負担防止」「年金加入期間の通算」は、日本とこれらの国の間のみで有効です。

<協定が発効済のところ>
ドイツ、アメリカ、イギリス、韓国、カナダ、ベルギー、フランス、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、 ルクセンブルク、フィリピン

<署名済未発効の国>
イタリア スロバキア 中国

 ただし、イギリス、韓国、イタリア及び中国については、「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する「保険料の二重負担防止」のみの協定です。その他の国とは、「保険料の二重負担」と保険料の掛け捨てとならないために、日本の年金加入期間を協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする「年金加入期間の通算」の双方を締結しています。

 多くの主要国との締結を果たすまでには、まだまだ時間がかかります。
 そこで、協定を締結していない国の国民のために平成6年に設けたのが脱退一時金の制度です。それらの国の国民が短期間(10年未満)だけ在住した場合は、本人の申出により、支払った保険料の半額を返還するというものです。半額であっても、全額払い損であった過去から比べると、ずいぶん大きな進歩といえるでしょう。支払った保険料の半額は後述の支給額で実態がわかります。

支給要件
(1)国民年金
 ①請求日の前日において、請求の日の属する月の前月までの第1号被保険者としての
  被保険者期間に係る次の(ⅰ)~(ⅳ)の月数を合算した月数が6月以上である
  こと。
  (ⅰ)保険料納付済期間の月数
  (ⅱ)保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数
  (ⅲ)保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数
  (ⅳ)保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数
 ②日本国籍を有しないもの(被保険者でないものに限る)
 ③老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないもの、その他これに準ずるものとして
  政令で定めるものであること

(2)厚生年金保険
 ①厚生年金保険の被保険者期間が6月以上であること
 ②日本国籍を有しないもの(国民年金の被保険者でないものに限る)
 ③老齢厚生年金の受給権を満たしていないこと

請求できない理由
(1)国民年金
 ①日本国内に住所を有するとき
 ②障害基礎年金等の受給権を有したことがあるとき
 ③最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者
  にあっては、同日後はじめて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して
  2年を経過しているとき
 ④その他

(2)厚生年金保険
 ①日本国内に住所を有するとき
 ②障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがあるとき
 ③最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を
  有していた者にあっては、同日後はじめて、日本国内に住所を有しなくなった日)
  から起算して2年を経過しているとき
 ④その他

支給額
(1)国民年金
  最後に保険料を納付した月が属する年度と、保険料納付済月数に応じて、
 以下のとおりとなります。

 平成30年4月から平成31年3月までの間に保険料納付済期間を有する場合の受給金額
※上表で、対象月数が6月以上12月未満の者は、49,020円となっておりますが、
  6月以上12月未満の最も少ない月数である6月を取ります。
  平成30年度の国民年金の保険料は、16,340円です。
  49,020円/16,340円=3月分であることがわかります。
  6か月分の保険料の3か月分、要するに半額返しということです。

(2)厚生年金保険
  平均標準報酬額(再評価なし)×支給率
  支給率とは、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の
 属する年の前年(最終月が1月から8月までの場合にあっては、前々年)の10月の
 保険料率の2分の1を乗じて得た率に、下表の被保険者本人の区分に応じた数を乗じて
 得た率です。よって、被保険者の区分に応じて、保険料率×1/2×(6~36)で
 求められます。

それでは、また次回をお楽しみに!!

#社労士 #試験 #独学 #年金 #基礎知識 #脱退一時金

2019年2月11日月曜日

中高齢の寡婦加算、経過的寡婦加算

中高齢の寡婦加算
今回は、中高齢の寡婦加算、経過的寡婦加算について説明していきます。
「寡婦」という言葉は、以前にも出てきましたね。国民年金の遺族基礎年金のところで、子のない妻には遺族基礎年金が支給されないため、夫の保険料の掛け捨て防止のために設けられた寡婦年金の制度でしたね。また、中高齢とは何歳ぐらいの人をいうかは統一的なものはありませんが、おおむね40代以上から60代の年齢を指すことが多いようです。寡婦ですから「妻」にしか支給されませんね。寡婦年金と比較して学習してみてください。

中高齢の寡婦加算


 会社員等の夫が亡くなった場合、妻と子が残されたときは妻に遺族基礎年金が支給されますが、子のない妻が残されたときは、遺族厚生年金しか支給されません。
 そこで、遺族基礎年金の4分の3の額を中高齢の寡婦加算として加算することにしています。

支給要件
 次のいずれかに該当する妻に支給される遺族厚生年金

①夫の死亡当時40歳以上65歳未満の妻
 ⇒子のある妻は、遺族基礎年金が支給されます。
中高齢の寡婦加算 支給要件①

②40歳に達したときに、夫の死亡当時から生計を同じくしている遺族基礎年金の
 支給要件を満たす子のある妻
 ⇒遺族基礎年金を受給していても「子」が原則18歳年度末に達すると支給されません
  ので、失権した後、中高齢の寡婦加算が行われます。
中高齢の寡婦加算 支給要件②


(ポイント)
①妻が国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、
 中高齢寡婦加算に相当する部分の支給が停止されます。遺族基礎年金を受けることが
 できない妻に支給するのですから当たり前ですね。
②長期要件による遺族厚生年金である場合は、その額の計算の基礎となる夫の厚生年金
 保険の被保険者期間の月数が240月(20年)以上であること。(中高齢の特例あり)

支給額
 中高齢寡婦加算の額は遺族基礎年金の4分の3の額です。
 平成30年度は、年額584,500円になります。

経過的寡婦加算

中高齢の寡婦加算は前述のとおり65歳に達すると終了しますが、中高齢寡婦加算を受給していた昭和31年4月1日以前生まれの人は、65歳以降は経過的寡婦加算を受給することができます。夫が死亡したとき、既に65歳以上で中高齢寡婦加算を受けることができなかった場合でも、経過的寡婦加算を受給することができます。理由を説明します。

 中高齢の寡婦加算が加算された遺族厚生年金の支給を受けている妻が65歳に達すると
、妻自身の老齢基礎年金の受給権が生ずるとの理由から、中高齢の寡婦加算は支給されなくなります。ところが、この妻は(元)会社員の妻でした。ようするに国民年金の第3号被保険者であります。第3号被保険者の項でも説明しましたが、昭和61年3月までの旧法時代は任意加入でした。任意加入していない場合は、老齢基礎年金の額が少額となります。昭和61年4月1日の新法施行のときに昭和31年4月1日以前生まれの人は、すでに30歳以上であり、満額の40年に達することが困難です。仮に、昭和31年4月1日生まれの方は、昭和61年4月から60歳まで加入しても、40年分の30年となり中高齢の寡婦加算の額(老齢基礎年金の4分の3)と同額です。それより以前に生まれた人は完全に中高齢の寡婦加算の額より少額となることがわかります。

 そこで、65歳以降の年金額が減らないように、中高齢の寡婦加算との差額を経過的寡婦加算として加算することにしたのです。

経過的寡婦加算の額
  中高齢の寡婦加算額 - 老齢基礎年金の額×寡婦の生年月日に応じた率
 ※老齢基礎年金の額×寡婦の生年月日に応じた率とは、昭和61年4月から60歳まで
  の期間で計算した老齢厚生年金の額となります。



#社労士 #試験 #独学 #年金 #基礎知識 #中高齢の寡婦加算 #経過的寡婦加算

2019年2月9日土曜日

遺族厚生年金

遺族厚生年金

 今回は、遺族厚生年金について解説します。遺族基礎年金と比べると多少複雑です。支給要件でも、遺族厚生年金は、障害等級1級・2級の障害厚生年金を受け取っている方が死亡したときなど相違点があります。比較学習するようにしてください。






支給要件
 遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者または被保険者であった者が次のいずれかに該当した場合に、その者の遺族に対して支給します。

①厚生年金保険の被保険者が死亡したとき
 ※厚生年金保険に加入していた人が死亡した場合で、保険料納付要件を満たしている
  必要があります

②被保険者の資格を喪失した後、被保険者期間中に初診日がある傷病が原因で、初診日
 から5年以内に死亡したとき
 ※退職後の話ですが、被保険者期間に初診日がないとダメです。たとえば、退職後の
  翌日に不幸にして亡くなられた場合はダメということです。
  また、保険料の納付要件を満たしている必要があります。

③障害等級1級・2級の障害厚生年金を受け取っている方が死亡したとき
 
④受給資格期間が25年以上である老齢厚生年金を受給権している人が死亡したとき

⑤老齢厚生年金の受給資格のある人が死亡したとき
 ※保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上ある
  方が死亡したとき
 ※平成29年8月1日より、老齢基礎年金の受給資格期間は「10年」となりましたが、
  遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件は10年に短縮されていません

①~③を短期要件、④、⑤を長期要件といいます。この分け方は、後の年金額で違いが出てきます。

保険料納付要件
 障害基礎年金や障害厚生年金の保険料納付要件とまったく一緒です。
 被保険者中の死亡または被保険者期間中に初診日のある傷病で初診日から5年以内
の死亡の場合は、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間に、保険料納付済期
間と保険料免除期間の合算した期間が3分の2以上であること
特例として、平成38年4月1日前までに亡くなった場合(65歳未満に限る)には、亡く
なった月の前々月までの直近1年間に未納がなければよいとされています。

遺族の範囲、順位
 妻以外の人については、要件が設けられています。 
 ・第1順位:配偶者(妻または夫:夫は55歳以上) および
       子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、
         または20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態
         にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと)
 ・第2順位:父母(55歳以上)
 ・第3順位:孫(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、
         または20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態
         にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと)
 ・第4順位:祖父母(55歳以上)

(補足)
 ・遺族基礎年金と異なり、受給できる範囲が広く、「子」のいない配偶者も、
  受給できます。ただし、「子」のいない妻は、夫が死亡時に30歳未満の場合、
  5年間だけしか受給ができません。(若年期の妻に対する遺族厚生年金の見直し)
 ・夫、父母、祖父母は55歳以上で支給開始は60歳から
 ・「子」のある配偶者又は「子」は、遺族厚生年金のほかに、遺族基礎年金も併せて
  受給することができます。
 ・一方、「子」のない配偶者は、遺族基礎年金が支給されません。しかし、そのうち、
  40歳以上の配偶者であれば、65歳になるまで、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算
  (定額)が加算されて支給される場合もあります。

年金額
 遺族厚生年金の額は、原則として老齢厚生年金の額の規定の例により計算した額の4分の3に相当する額となりますが、短期要件であるか長期要件であるかで多少相違点があります。短期要件の場合は、被保険者期間の月数については300月のみなしがあります。長期要件の場合は、生年月日に応じた乗率の読み替えがあります。
報酬比例部分の年金額は、1の式によって算出した額となります。
なお、1の式によって算出した額が2の式によって算出した額を下回る場合には、2の式によって算出した額が報酬比例部分の年金額になります。

1.報酬比例部分の年金額(本来水準)
 {平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+
  平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数}×3/4

2.報酬比例部分の年金額(従前額保障)
(従前額保障とは、平成6年の水準で標準報酬を再評価し、年金額を計算したものです。)
 {平均標準報酬月額×7.5/1,000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+
  平均標準報酬額×5.769/1,000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数}
  ×0.999×3/4
  ※昭和13年4月2日以降に産まれた方は、0.997

 ・平均標準報酬月額と平均標準報酬額の計算にあたり、過去の標準報酬月額と
  標準賞与額には、最近の賃金水準や物価水準で再評価するために「再評価率」を
  乗じます。
 ・短期要件に基づく遺族厚生年金では、被保険者期間が、300月(25年)未満の場合
  は、300月とみなして計算します。
 ・長期要件に基づく遺族厚生年金の場合、計算式の1000分の7.125(9.5~7.125)
  および1000分の5.481(7.308~5.481)については、死亡した方の生年月日に
  応じた読み替えがあります。
 ※短期要件は、障害厚生年金の計算式と同じで、長期要件は老齢厚生年金の計算式
 (4分の3は違うが)と同じであると覚えましょう。

遺族厚生年金の加算の特例
 死亡した人の子のある配偶者または子であって遺族厚生年金の支給要件を満たす人でも、特殊な事情により遺族基礎年金に支給要件を満たせない場合があります。その場合は、遺族基礎年金額や子の加算に相当する額を、厚生年金保険から特別に加算する制度があります。遺族厚生年金が受け取れて、遺族基礎年金が受け取れないとはどういう事情でしょうか? 正解は、下記①と②のケースが典型例で考えられます。
①昭和36年4月以前の加入期間しかない老齢厚生年金の受給権者の死亡
②下記の要件をすべて満たした人の死亡
 ・障害等級1級または2級の障害状態にある障害厚生年金の受給権者
 ・海外に住所を有する
 ・国民年金に任意加入していない(被保険者でない)
 ・保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間につき、原則25年を満たす
  ことなく
①は、国民年金に一度も加入していませんので、遺族基礎年金は支給されません
②は、下記の遺族基礎年金の要件をすべて満たしておりませんので、
  遺族基礎年金は支給されません
したがいまして、遺族厚生年金は支給されますが、遺族基礎年金は支給されないケースが
出てきます。
 <遺族基礎年金の支給要件>
 ・被保険者が死亡した ⇒被保険者でない
 ・被保険者であった人で、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満で
  ある人が死亡したとき ⇒海外在住
 ・老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき ⇒25年要件
 ・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人が死亡したとき ⇒25年要件 

支給停止
 ①労働基準法との調整
   被保険者または被保険者であった者の死亡について、労働基準法の規定により
  遺族補償を受けることができる場合は、死亡の日から6年間、その支給を停止
  されます。
 ②配偶者と子の遺族厚生年金
   配偶者と子は同順位ですので、同時に受給権を得た場合は、次のように
  調整されます。
  ・子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、
   支給停止されます。
  ・夫に対する遺族厚生年金は、子が遺族厚生年金の受給権を有する期間、
   支給停止されます。
  つまり、優先順位は、妻>子>夫となります。

それでは、また次回をお楽しみに!!



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2019年2月2日土曜日

死亡一時金(国民年金独自の給付)

死亡一時金

 今回は、死亡一時金について解説します。死亡一時金も寡婦年金と同様、国民年金独自の給付です。寡婦年金は妻だけに支給されるものでしたが、死亡一時金は一定の遺族に支給されるものです。死亡一時金も、遺族基礎年金を受けることのできる遺族がいない場合に支給される保険料の掛け捨て防止を目的とする給付なのですね。

死亡一時金

たとえば、子のない夫婦がいて、第1号被保険者である妻が亡くなったとします。子がいないので、夫は遺族基礎年金は受給できません。寡婦年金はというと、寡婦の「婦」は婦人の婦ですから、女性しか受給できません。結果、夫には何も支給されないこととなり、妻が長年支払った保険料が無駄になってしまいます。そこで掛け捨て防止のために死亡一時金を支給することとしたのです。

支給要件
 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る次の①から④の月数を合算した月数が36月(3年)以上である者が死亡したこと
①保険料納付済期間の月数
②保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数
③保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数
④保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数

遺族の範囲
 死亡した者の遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものに支給されます。
<補足>
 障害厚生年金等の配偶者加給年金は以前説明しましたが、その場合は「生計維持」が
 要件でした。「生計を同じくする」との違いは何でしょう?
 「生計維持」とは、下記の2つの要件が必要です。
  ①生計を同じくしていること、、つまり生計同一であること
  ②収入が一定額以下であること
 以上2つの条件をいずれも満たす人になります。
 簡単に言えば、生活費の大半は夫(妻)の給与で賄われていること。
 「生計を同じく」は生計を同じくするだけでよく、収入額については問われない、
 ということになります。
 試験では細かい違いをついてくることもありますので注意してください。

死亡一時金が支給されない場合
①死亡したものが、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けたことがある場合
②死亡したものの死亡日において、その者の死亡により遺族基礎年金を受けることが
 できる者があるとき
 (死亡日の属する月に遺族基礎年金の受給権が消滅したときを除く)
  ⇒父の死亡月に子が18歳の年度末に達したようなケースです。年金の支給は翌月
   からですから、この子はいったん遺族基礎年金の受給権を得ていますが、結局
   一度も支給を受けていません。そこで、死亡一時金を支給することとしたのです

③遺族基礎年金の受給要件を満たす胎児であった子が生まれたことにより、妻または胎児
 であった子が遺族基礎年金の受給権を取得したとき
 (胎児が生まれた日の属する月に、遺族基礎年金の受給権が消滅したときを除く)
  ⇒子が生まれてすぐに死亡したようなケースです。

遺族基礎年金を受けることができる場合は、死亡一時金は支給されません。
死亡一時金は、保険料の掛け捨て防止ですから、当然ですね。

支給額
  (合算した月数)  (支給額)
   36月以上180月未満  120,000円
  180月以上240月未満  145,000円
  240月以上300月未満  170,000円
  300月以上360月未満  220,000円
  360月以上420月未満  270,000円
  420月以上       320,000円

 ※付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上ある場合は、一律に8,500円が
  加算されます。

寡婦年金との選択
 死亡一時金の支給を受ける者が寡婦年金の支給を受けることができるときは、その者の選択により、どちらか一方が支給されます。

それでは、また次回をお楽しみに!!

 
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